2013年8月18日

I lavoratori

働く人達


プッチーニフェスティバルも、後3公演を残すだけになりました。昨日は、自分が稽古のピアノを担当していた『外套』と『カヴァッレリア・ルスティカーナ』が終わりました。歌はもちろんですが人間的にも暖かく素晴らしい歌手たちでした。また、何処かで彼らと仕事する機会が巡ってきますように!



さて。
次の公演は木曜日なので、今日から三日間はオフ。アンドレアの同僚からご飯のお誘いがあって、今ボローニャに向かっています。乗り換えのピサ駅ホームで見た光景です。



なんと!向かい側のホーム、2〜3人を除いて、殆ど全てがアフリカからの移民の人達。彼らが待っているのは、ヴィアレッジョ行きの電車。ヴィアレッジョが最終目的地じゃない人達もいるでしょうが、海辺で物を売り歩いている人達と思われます。


通勤ラッシュですな。
それにしても、ここは一体何処?と、ちょっとビックリいたしましたですが、これも今のイタリアの姿なのです、はい。


では、また!(^_^)

2013年8月10日

Roma

ローマ


旅の終わりはローマでした。 
アルベロベッロから6時間ほどかかって、15時頃にローマのホテルに到着。車での移動中、外気温を示す表示は時折り40℃を超す猛暑。夕方に外出した時も、まだまだ気温は高いまま。35℃は確実に超えていたと思います。ローマ最初の日の行き先はCastel Sant'Angelo (サンタンジェロ城)。これは、夜21時頃の写真です。




10年ほど前に、1年ほどローマに住んでいました。初めてのイタリアでの一人暮らし、慣れない生活様式、聞き取りにくくアクセントの強いローマ言葉。しかも知り合いがほとんど誰もいなかったローマ。町を歩いても緊張の連続で、楽しむ余裕はなかなか持てませんでした。最初の頃は特に、夜に町を歩くなんてことも殆どなかったです(笑)。なので今回、改めて訪れることができて良かったです。こんなに美しい所だったのだと新たな発見がたくさんありました。


サンタンジェロ城の中にも、以前に一度入ったことがありましたが、今回はガイドさん付きのツアー見学でしたので、お城の歴史や逸話、要塞としてどのように使われたか等も知ることができてとても興味深かったです。サンタンジェロ城から、バチカンのサンピエトロ大聖堂に繋がる塀があり、中にはローマ法王がバチカンから逃げるために作られた秘密の通路があります。距離にして800mほどの長さです。そのうちの500mほどの通路が、たまたま期間限定の公開になっていましたので、その中も通ってきました。この写真がそれです。狭さもですが、空気が入ってくる穴が小さくその数も少いのと、昼間の熱気でしっかり暖まった壁の熱で、かなり暑く息苦しい感じがしました。




この通路の上、つまり塀の上部には外から見える別の通路があり、そこには常に見張りが配置されていたと言われています。これがその塀の上の通路からの写真です。すでに時間も遅く写真も暗くて分かりにくいですが、遠くに見えるのがサンピエトロ大聖堂のクーポラです。実際に、ここを使って避難した法王の話を聞いてからそこを歩いたので、自分も歴史に関わったような気分になりとてもワクワクしました(^_^)




歩き疲れ、お腹も減った私達は取り敢えず夕食を食べてホテルに。その日の長距離の移動と暑さで、ホテルに帰るなり爆睡。よく寝ました。翌日は気分も新たに、こんなところを見て歩きました。ローマ観光定番中の定番です(笑)


ポポロ広場にあるサンタ   マリア    デル   ポポロ教会の中

スペイン広場


トレビの泉


パンテオン1

パンテオン2



ナヴォナ広場



お昼にたまたま入ったレストランで、とても美味しいカルボナーラを食べられたのは良かったのです。しかし、暑すぎ!!!昼食後、時間的に日陰が殆どなくなり、逆に日差しは容赦なくなってきました。これ以上歩き続けるのは身体に悪いし、ローマの美しさを味わうには心に余裕がないしで、残念ながら観光は強制終了となりました(笑)もう少し、優しい季節の時にまた戻ってきたいです。美しいローマ。


最後に、お昼のカルボナーラが美味しかったお店をご紹介。実は、その日の夜には別に行ってみたかったトラットリアがあったのですが、下調べが甘すぎ(笑)ちょうど彼らもバカンス中。そこでお昼のお店に戻ることにしました。夜は、私もアンドレアもお肉料理をいただきました。それもとても美味しかったです。お店の名前は『タヴェルナ   アントニーナ』、パンテオンの近くのコロンナ    デッラ   アントニーナ通り(via della colonna antonina)にそのお店はあります。
料金もそれほど高くないし、従業員の対応も気持ちよかったです。トイレもとても清潔で綺麗でした。パンテオンやナヴォナ広場近くで食事される時にお勧めです。





あっという間の10日間。楽しく美味しい旅でした。
それでは、また!(^_^)



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2013年8月3日

Alberobello

アルベロベッロ


何年も前に、イタリア人の舞台装置家から一枚の絵葉書をもらいました。その絵葉書に写っていた家はとても素敵だったので、どうしても一度見てみたいと思っていました。その家の名前は、トゥルッリ。円錐型の屋根を持つ白い家。


今回、そのトゥルッリがあるアルベロベッロにも立ち寄る事ができました。想像していた以上に、特別な雰囲気を持つ町でした。何枚かその町の写真をお見せしますね。








15世紀、ナポリ王国の支配下だったアルベロベッロ。ナポリ王国からその統治ため派遣されたアクアヴィーヴァ伯爵は、住民の家の数によってかけられる税金をごまかすために、監視役人がくる度に、住民達に家の屋根の取り壊しを命じました(屋根がない建物は、家ではないと伯爵が主張したため)。度々、壊さなければならない家の屋根。住民は考えた末に、屋根を石を積み上げただけにし、形も円錐型にしたのだとか。


扉も低く窓も小さいこの家で、当時は一体どんな暮らしがなされていたのでしょう?1996年に、アルベロベッロはユネスコの世界遺産に指定され、
多くはお店やホテルとして利用されていますが、今でも居住区として残っている地区もあります。岐阜県の白川郷とは姉妹都市にもなっているそうです。




兎に角、白い町は暑いです。
あぢぃーーーと、座り込んだ方はこちら(笑)


是非、また帰ってきたい町の一つです。



では、また!(^_^)


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2013年7月30日

Le vacanze

バカンス


10日ほど、フェスティバルのお休みがあるので、それを利用してイタリアの南の方を旅行する事にしました。


トッレ・デッラーゴから車で6時間ほどかかって、ラヴェッロまでやってきました。ここでも毎夏、音楽フェスティバルが開催されます。クラッシックのみならず、他ジャンルのコンサートもあります。コンサート以外には、バレエもあるみたいです。


ホテルのお部屋の窓から見える景色です。山と海がすぐ側にあって、ヴィアレッジョの海岸とはその姿が全く違います。一息ついて、ラヴェッロの町を一回り。


ラヴェッロはワーグナーとゆかりの深い町で、ここでオペラ『パルシファル』のクリングゾルの庭の音楽の着想を得たそうです。それに因んで、こういう通りがありました。ワーグナー通りです。


そして、実は私達のホテルの名前が『パルシファル』(笑)


昔、仕事できた事のあるアンドレアが覚えていた場所で夕ご飯。その後、ドゥオーモの前の広場でくつろぎながら、久しぶりに二人でゆっくりの時間を過ごしました。


翌日は、朝からアマルフィ観光。ここは海の町。しかも海と山が近い。

そして町の中は、細い路地が一杯。どこに出るのか分からずに進んで行くので、気分はちょっと探検家です(笑)






そして、偶然見つけて入ったお昼のレストランも良かったです。ボンゴレとズッキーニとペコリーノのパスタを食べましたが、非常に美味しかった。



何がって、パスタが美味しかった。シャラテッリというこの辺りのパスタ。手打ちうどんほどの太さで、かなりこしもありました。早速!お土産に買いました(^_^)


一度ホテルに戻り、ちょっと休憩してから今度は、もう一つの海の町ポジターノへ。ここも山と海が本当に近い。本当に独特の雰囲気です。


夕ご飯もポジターノで済ませ、心地良い疲れと共にホテルに帰ってきました。


今日は、これか近くの海辺でのんびりごろ寝の予定です。


では、また!(^_^)
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2013年7月24日

Tosca

トスカ



オケ付き舞台稽古が始まったトスカ。プリモの歌手達も揃い、稽古場は俄然面白くなってきました。



今回は、トスカ、カヴァラドッシ、スカルピアと三人ともがイタリア人。当たり前の事なんですが、彼らにとってトスカは母国語でのオペラ。稽古を見ているとその事がよく分かります。会話に、独白に、言葉に音符がついていることに改めて気付く。そして、母国語でされているからオペラが面白い。特にプリモの歌手達の稽古は新しい発見だらけです。歌う事、言葉を伝える事、演技する事のどれもが満たされていて素晴らしい。楽譜を見ながら彼らの演奏を聞いていると、どうしてこの言葉にこの音符がついているのか、その理由が突然分かったりします。


上の写真は、昨日の舞台稽古の一枚です。舞台上は、トスカのノルマ・ファンティーニとスカルピアのガブリエーレ・ヴィヴィアーニです。ちなみにカヴァラドッシは、マルコ・ベルティ。
この三人の組み合わせは、今週末のトスカの初日だけなのですが、本当に多くの方に見ていただきたい舞台です。



昨年もここでトスカの公演がありました。プリモの歌手はトスカはロシア人、カヴァラドッシが韓国人、スカルピアはイタリア人でした。それぞれが素晴らしい声の持ち主で、経験も豊富な歌手達です。本当に素晴らしい声。でも外国人の二人は、相手の言葉の扱いに反応している歌ではなく、覚えた言葉でオペラをしているというのが伝わってきました。それぞれが自分のパートをしたいように歌っている、、、そんな印象だけが残りました。沢山の拍手で終わった舞台でしたが、私にとっては非常に残念な舞台でした。デュエットも、テルツェットも彼らが舞台上でしていたドラマは会話ではなかったから。外国人が母国語でないイタリア語でオペラを、しかもそれをイタリアでする場合の難しさを教えてくれた舞台でした。それを乗り越えるためには、沢山の努力が必要であることも改めて認識できた舞台でした。



これは私がこれからしていくべき仕事に関してですが、では私達日本人が、日本で日本人だけで母国語でない言語のオペラをする時は?そんな事も考えながら稽古に参加しているこの数日です。


オケピットから見える三幕の舞台装置。
ローマのサンタンジェロ城の天使像です。きっと私達の公演も見守ってくれることでしょう。


では、また!(^_^)
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2013年7月22日

Camerino volante

空飛ぶ楽屋



舞台用語というものが、イタリアにも存在します。新しい言葉を一つ覚えました。
それがタイトルの『camerino volante』です。リゴレットの一幕には、早替えのシーンがあります。舞台から楽屋に戻って着替える時間がない場合、袖中に着替える場所を作ります。これは日本でも時々みかけます。その場所の名前をイタリア語では『camerino volante』と呼びます。衣装付きの舞台稽古で初めてその言葉を聞きました。



camerino とは楽屋のことなんですが、その言葉の後ろについている volante 。これは、volare (飛ぶ)という動詞の現在分詞になります。動詞が名詞を形容する場合にこの形が使われます。例えば、 空飛ぶ家(casa volante) とか、空飛ぶホウキ(scopa volante)などです。この方法でいくと、camerino volante とは『空飛ぶ楽屋』ですよね。



そっか、、、楽屋が袖中に飛んできたという発想なのか、、、とニッコリ。なんてファンタジーのある言い方なんでしょ!家に帰って、その言葉が辞書にあるのかどうか調べて見ましたが、残念ながら見つかりませんでした。数日後、リゴレットの初日には、バカンスに入ったアンドレアも劇場にやってきました。三幕の嵐のシーンだけが出番の私もそれまでは一緒に鑑賞。一幕でその早替えと舞台転換が行われている最中に、『camerino volante』の事を思い出したので彼に確認しました。



『袖中の早替えの部屋って、camerino volante と言うのよね?』
『そうやで。それで正しいよ』
『volante って、volare (飛ぶ)のことでしょ?可愛いね、この呼び方!』
『volare(飛ぶ)?』
『え?飛んできたって意味じゃないの?』
『がはは、、、お前、楽屋は飛ばんやろ。羽が生えるんか?』
『素敵やんか、ビューンと飛んでくる楽屋。そんな風に想像してたけど、、、』
『それ可愛いけど間違い。volante ってこの場合素早いって意味。飛ぶじゃない』
『そうやったんや!羽のある飛ぶ楽屋、、、いいと思うけどなぁ、、あはは』


考えてみると日本語の『飛ぶ』という言葉も、『飛ぶように時間が過ぎる』の様に飛ぶという動詞を使って『素早い・速い』という意味を含ませたりしますよね。『素早く飛んできた楽屋で着替える』、、、と考えれば、私の発想もあながち間違いではないかと(笑)



今週はトスカの稽古が大詰めです。今日もこれから、昼夜の稽古です。
イッテキマス!


では、また!(^_^)



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2013年7月17日

Rigoletto

リゴレット


3つ目の演目リゴレットの初日が迫って来ました。昨日は、オケ付き舞台稽古2日目。キャスト、助演、そしてダンサーは、完全に衣装や鬘をつけての稽古でした。今日の夜が公開ゲネプロのため、演出家がチェックしておきたかったのでしょうね。


嵐のシーンがある三幕まで私は仕事がないので、昨日は二幕終わりまで客席で稽古を見ていました。下の写真は、一幕の最初のシーンです。まだ明るい時間帯か稽古が始まったので、照明の効果が分からないのが残念ですが。



私が担当している嵐の雷や風の音は、客席に聞こえている音量はちょうど良い感じらしいですが、幕中はすごいことになっているそうです。返しのスピーカーが幕中にも設置されていて、そこから聞こえる音はもう爆音らしいです(笑)なんとなくそんな気はしていたので、稽古前に舞台監督のトニーに挨拶に。


『チャオ!昨日の嵐どうやったかな?』と、私。
『Michiiiiiiiiii! 三幕の嵐のシーンだけは、君のことホンマ!憎むよ。その時は僕、スピーカーのど真ん前にいるんやで!』と、天を仰いでこの上なくたまらん顔で答えるトニー。
『あはは、、、そうじゃないかと思ったわ。今日も弾いてもよろしゅございますか、トニー?それをお伺いしたく、ここに参上いたしました』と、私。
アハハ、、、と声高く笑って、舞台監督が一言。『全て貴女のお望みのままに!』
ほぼ50年、劇場で働いてきているトニー。劇場で生きてきた人です。こういう人達と関われるのも劇場での素敵な経験です。

兎に角、舞台監督の言葉を思い出して、ちょっとだけ控えめに鍵盤を押さえながら、昨日も無事に嵐のシーンを通過(笑)稽古も何とか時間内に終わりました。





今日の公開ゲネプロと、週末の本番が楽しみです。
では、また!(^_^)
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2013年7月13日

La prima

初日



昨日12日は、フェスティバルの初日、『外套』と『カヴァレリア   ルスティカーナ』の公演が行われました。

ホワイエに置かれた大理石の彫刻。数年前に、劇場が新しくなった頃から入口近くに設置されています。この紳士は、プッチーニと思われます。

劇場への外からの入口前には、ご招待などのお客様を迎えるためのアペリティーヴォの場所も用意されています。


私達も普段とは違う緊張と興奮を抱きつつ、それぞれの持ち場で仕事です。昨日は袖中でのキュー出しが仕事でしたから、そこで撮った写真を何枚かご紹介します。


開演直前の舞台。


影コーラスで待機中の男性コーラスと、手前はオルガン弾き役の仕出しのおじさま。


主役のミケーレを演じるアルベルト・カザーレ



『外套』と『カヴァレリア    ルスティカーナ』の間の休憩には、次の演目の衣装に着替えたコーラスの最後の確認稽古。カヴァレリアの舞台、シチリア地方の民族衣装ですね。

約30分の舞台転換で、セットはすっかり入れ替わりました。この転換は、幕のない野外劇場では、お客様も見ることができます。大道具のお兄さん、最後のチェックから袖中に、戻ってくるところですかね

カヴァレリアで有名な、間奏曲の際のシーンです。パスクアでの行列です。十字架を持つ人、キリストの像を担ぐ人達。そのすぐ後ろは、カラビニエーリや市長さん。

その後に、民族衣装の民衆が続きます。コーラスの衣装の色合いが素敵ですよね。

 


無事に終わった初日。
終演後は、スタッフ仲間と近くのバールで乾杯。上手に帰る瞬間を逃した私は、その後、午前3時までお付き合いするはめに(苦笑)


今日は二演目めのトゥーランドット。
またまた楽しみます。



ては、また!(^_^)

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