2013年7月22日

Camerino volante

空飛ぶ楽屋



舞台用語というものが、イタリアにも存在します。新しい言葉を一つ覚えました。
それがタイトルの『camerino volante』です。リゴレットの一幕には、早替えのシーンがあります。舞台から楽屋に戻って着替える時間がない場合、袖中に着替える場所を作ります。これは日本でも時々みかけます。その場所の名前をイタリア語では『camerino volante』と呼びます。衣装付きの舞台稽古で初めてその言葉を聞きました。



camerino とは楽屋のことなんですが、その言葉の後ろについている volante 。これは、volare (飛ぶ)という動詞の現在分詞になります。動詞が名詞を形容する場合にこの形が使われます。例えば、 空飛ぶ家(casa volante) とか、空飛ぶホウキ(scopa volante)などです。この方法でいくと、camerino volante とは『空飛ぶ楽屋』ですよね。



そっか、、、楽屋が袖中に飛んできたという発想なのか、、、とニッコリ。なんてファンタジーのある言い方なんでしょ!家に帰って、その言葉が辞書にあるのかどうか調べて見ましたが、残念ながら見つかりませんでした。数日後、リゴレットの初日には、バカンスに入ったアンドレアも劇場にやってきました。三幕の嵐のシーンだけが出番の私もそれまでは一緒に鑑賞。一幕でその早替えと舞台転換が行われている最中に、『camerino volante』の事を思い出したので彼に確認しました。



『袖中の早替えの部屋って、camerino volante と言うのよね?』
『そうやで。それで正しいよ』
『volante って、volare (飛ぶ)のことでしょ?可愛いね、この呼び方!』
『volare(飛ぶ)?』
『え?飛んできたって意味じゃないの?』
『がはは、、、お前、楽屋は飛ばんやろ。羽が生えるんか?』
『素敵やんか、ビューンと飛んでくる楽屋。そんな風に想像してたけど、、、』
『それ可愛いけど間違い。volante ってこの場合素早いって意味。飛ぶじゃない』
『そうやったんや!羽のある飛ぶ楽屋、、、いいと思うけどなぁ、、あはは』


考えてみると日本語の『飛ぶ』という言葉も、『飛ぶように時間が過ぎる』の様に飛ぶという動詞を使って『素早い・速い』という意味を含ませたりしますよね。『素早く飛んできた楽屋で着替える』、、、と考えれば、私の発想もあながち間違いではないかと(笑)



今週はトスカの稽古が大詰めです。今日もこれから、昼夜の稽古です。
イッテキマス!


では、また!(^_^)



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