2016年7月21日

L'arte e la politica

芸術と政治



先週末に幕が開いたフェスティバル。



初日は、誰も想像もしなかった事が起こりました。沢山のお客様を迎え、始まったフェスティバル。本ベルも鳴って、いよいよ幕開け。まずは、その数日前に起こったニースでの悲しみを共に分かち合うために、指揮者の短いコメントとフランス国歌の演奏。そして1幕が終わり大きな拍手。


ここで吃驚の事が起こりました。指揮者が客席の方に振り向き、フランス国歌を演奏する前に使ったマイクを再び点けて、自分はもうこれ以上指揮をすることはできないと話し出したのです。その1つの理由として、ニースでの悲劇に抗議するためと話し始めた彼ですが、本当はその後に彼が続けた政治絡みの理由のためでした。芸術を携わるものとして、幕が開いた舞台を放棄するのはあり得ないこと。しかも、全く個人的で政治的な理由で。



舞台上に残っていた歌手、ピットにいたオーケストラ、そして劇場首脳陣も全く知らなかった突然の指揮者の発言に、皆が何が何だか分からず固まりました。彼は指揮者であるだけでなく、フェスティバル財団のプレジデントでもあります。信じられます?客席からのブーイングや『恥を知れ!』の叫び声をよそに、指揮者はしらっと退場。


勿論、休憩時間の間、楽屋は大混乱(笑)幸いにも後日トスカを振る予定のもう一人の指揮者が劇場に来ていたので、長い休憩の後に公演は続行。実際に2幕が始まったのは23時。日本では考えられないけれど、イタリアの野外劇場では、雨が降ってきて1時間ほど待つこともしばしば。なので、お客様も帰られることなく、待ってくださったのでした。代行した指揮者の棒がまた素晴らしく(笑)、オケの音も締まって、皮肉なことですが結果的にはこれで良かったかも、、、。


翌々日だったかな、途中放棄した指揮者(であり財団のプレジデント)は辞職。副プレジデント、役員の多くも、今回の出来事の責任からでしょう、皆さん辞職。今後どうなることやら、全く分からないフェスティバル。それでも、今年の演目はこなさねばなりません。トスカ、ボエームに続いて今週末に幕が開くトゥーランドットの稽古が今週は佳境に。その翌週に幕開けの蝶々夫人の稽古も絡まり、休みのない日々が続いていました。



来週になったら、少しのんびりできることを期待しよう。
では、また!(^o^)/












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